2017年年明け早々のことでした。私はそれ迄10年間勤務していた夜勤の仕事を辞めて、新しい仕事に就いた。
仕事内容は、閉店後のスーパーでひたすら品出しをする。大手企業が全国展開をするスーパーでした。
職場が自宅から徒歩15分位の所にある好立地な場所。
歩いて行けるのも、決めた理由の1つでした。
勤務日数:週4日、月・火・木・金のシフト。就業時間:22時~翌朝9時(内休憩1時間)1日10時間労働。
確かこんな条件だったと思う。1回の勤務時間が長かったのが記憶に残っています。
食品売場は2フロア。それ以外のフロアもお店としては有りましたが、衣類や日用品を扱うフロアなので、私の所属している部署では、それらを品出しすることはありません。
仕事の流れとしては、下記のとおり。
① 倉庫に行き、梯子台車に品出しする商品ごとに品物を載せる。例えば、飲料なら飲料だけを台車に、お菓子ならお菓子を台車に載せる。
② 各売り場の棚の前に、それらの台車を引っぱって行く。
③ 商品を棚に補充する。
以上をひたすら繰り返して売場を作る感じですね。
今思いかえしてみてもひたすら単純で簡単そうです。しかし、品物の数が膨大で決められた時間内に品物を出せる様になる迄には、ある程度の期間を要すると思いました。
私の教育係は、40代位の親切な主婦の方。その人に指示をもらいながら品物を出して、売場を次から次へと回っていきました。一番辛かったのが、休憩をとるまでの時間が長いこと長いこと。
10時間の勤務の内休憩が1時間有るのですが、30分を2回取る形で休みを取りました。5時間ブっ続けて働いてからようやく休憩する様な働き方。私は直近の夜勤がメチャクチャ楽な職場で、すっかり体に怠け癖が染みついていたのです。その職場では2時間働いて、1時間休み(待機時間という名目で実際には休憩)そんな生活を10年も続けていた影響で、仕事をする上での”体力”と”精神力”が明らかに弱くなっていたのです。
最初の1週間(4日間)をなんとか終えました。しかし、私はもうこの仕事を続ける気が全くしませんでした。
「5時間ぶっ続けて働かせる職場なんて、ブラックに決まっている」と、自分に都合の良い退職理由を考えていました。(労働基準法的には、それはNGではないのですが)
仕事を始めてから最初の土曜日の晩(公休日の夜)に、私は仕事が始まる時間の15分位前に職場に退職の意志を伝えようと思い、自宅を出ました。職場の従業員入口に着くと、そこで丁度夜間品出しの責任者(50代位の男性)に偶然会いました。
退職したい旨を伝えると、「詳しい話を聴きたいので、ロッカー室に一緒に来て」と言われ、地下のロッカー室まで二人で歩いていきました。
私は「想像していたより身体がかなりキツイ、品出しも全然速く出せる気がしません」みたいな理由を言ったと思います。退職については、その場で即了承されました。責任者は「ウチは女性のほうが、何故だか長く続くんだよねぇー」とだけ言ったのを覚えています。そして更に、「仕事はいずれにしても何かしなくてはならないのだから、頑張りなさい」と励まされたのを覚えています。私は職場から貸与されたエプロンと名札を返却しようとしました。
しかし、「ああそれ、ご自分で処分してくれたら良いから」と言われ、それら備品をもらって帰ってきました。
退職の為の手続き(退職届等の書類)は一切無し。大手スーパーなのに、これについては意外でした。
実はこのエプロンは、今でも自宅で重宝しています。油よごれのひどい時は、これを着けて食器を洗います。
その度に「たった四日間で辞めたあの冬から、もう5年近くも経つのか」エプロンを着ける度に、ちょっぴり心が痛みます。